(104)アマゾン河の大物怪魚たち

ゴルフ友達から、アマゾン河の魚釣りに誘われた。何でも、素人でも20~30キロの大物が釣れるという。以前から釣り好きの友人たちに、釣りあげた鱸や黒鯛の大物を抱え、喜色満面の写真をスマホで見せられるたびにうらやましく思い、自分も一度は大物を釣り上げる感動を味わってみたいものだと思っていた。

実は、私は昔から乗り物に弱く、船で沖合にでる海釣りなど、考えただけで頭がクラクラするくらい船酔い恐怖症なので、大物釣りは半ばあきらめていた。

ところが友人曰く、アマゾン河は、波がないので船酔いの心配は全くないという。その一言で、あきらめかけていた大物を釣り上げるイメージが浮かび上がり、アドレナリンがジワリと湧き出てきて、即決で参加を決めた。

昨年6月、釣りには最適といわれる乾季を選んで、男ばかり8名で勇躍釣りツアーに出発した。早朝にグアルーリョス空港を出発し、2時間半のフライトでクイアバ-に着く。そこから飛行機を乗り替え、さらに一時間半飛ぶと、アルタ・フロレスタル空港に到着する。

アルタ・フロレスタルはマットグロッソ州の北端にある町で、先端が食い込むような形でアマゾン州にはみだしている。空港から出迎えのバンで30分ほど郊外に向かって走ると、小さなローカル空港に着く。空港では、テコテコと呼ばれる、2機の小型単発機が待機していた。

単発機テコテコ

4名づつ、二手に分かれて乗り込んだテコテコは、間もなく舗装していない滑走路を、砂埃を巻き上げながらふわりと離陸した。しばらくすると、窓から見える下界は、視界の果てまでがアマゾンの原始林だ。緑のジャングルを、銀色の蛇が這うように曲がりくねった川が流れている。幸い、空は雲一つない快晴で、低空飛行をするテコテコの窓から、下界の景色が、手に取るようにはっきりと見える。

見渡す限りの原始林と河

それから約一時間後、テコテコは下降を始め、ジャングルが急速に眼下に迫って来た。突然、森林をそこだけ切り取ったような細い滑走路が現れ、機は軽いショックとともに、砂ぼこりを巻き上げてランディングした。テレス・ピーレスのローカル空港である。テレス・ピーレス地区一帯は、ブラジルの原住民・インジオの特別保護地域に指定されており、一般人が足を踏み入れるためには、許可証が必要だ。出迎えの車で、ポウザーダ・マンテイガのロッジに向かう。

釣り宿・ポウザーダ・マンテイガ

宿泊するポウザーダ・マンテイガは、テレス・ピーレス川べりに建てられたシンプルな造りのロッジで、宿泊、食事は元より、釣り船、釣り道具、餌、ガイドなど、魚釣りに必要な一切の世話をしてくれる釣り宿である。

翌朝の起床は午前5時、外は未だ薄暗い。食堂で朝食をとった後、川に張り出した桟橋に降りて行くと、ヤマハのモーターを搭載した、スマートなアルミ製の釣り船が用意されていた。

ガイドは原住民インジオの青年で、にこやかに迎えてくれる。大物との出会いを祈念しながらパートナーの親友、フェレイラ君とボートに乗り込んだ。この時点では未だ、本当に獲物がかかるかどうか半信半疑で、フェレイラ君に「若し僕が釣れなかったら、君が釣った魚で写真だけを撮らせてくれ。」と、マジで頼んだりしていた。

Teles pires 1

テレス・ピーレス河の夜明け

水平線から太陽が顔を出したのを合図に、船は静かに川へと滑り出していった。

テレス・ピーレス河は、数あるアマゾン河の支流の一つで、全長1500キロ、川幅は1キロにも及ぶ大河だ。川面にさざ波が立つピーレス河を、ボートは第一の目的地に向かって疾走していく。快適だ。これなら船酔いすることはない。太陽が完全に姿を現し、空が明るくなり始めた頃、目的地に到着した。緩やかにカーブを描く川の奥まった場所だ。波は無く、ボートは揺れない。

ガイドが餌付けをしてくれた釣り竿を受け取り、イチニッサンで、思いっきり遠くに投げ入れる。3回目の投てきで、当りが来た。比較的静かな当りだったが、竿を引っ張ってもビクともしない。ガイドに目をやると、「デカイ」というように目配せしてくる。それから30分は、魚との格闘だ。やっと水面に姿を現した魚は、肌が黄色い大物だ。ガイドの手助けで、やっとこさ船に引っ張り上げた。なんと、魚市場で売られていて馴染のあるジャウーだ。重い。優に10キロはある。フェレイラ君にスマホのシャッターを切ってもらって、遂にこの手で念願の大物を釣り上げたことを実感し、感動がジワリと沸き上がってきた。

Teles Pires 8

ジャウー(美味な白身魚・魚市場でも売られている)

それから5~6回、ガイドに導かれて穴場を替え、私たちは、次々と大物を釣り上げていった。興味深かったのは、場所によって釣れる魚が異なることだ。次はどんな魚が釣れるのか楽しみで、時間の過ぎるのを忘れ、気が付いた時には、既に川面には日没が迫っていた。

カショーラ(犬魚・鋭い牙にご注目)

アルマウ・チグレ(紀元前の姿のまま生存)

ピラニア (ピラニア風の顔)

ツクナレー

バルバード

アマゾン河の魚の当りは、ググーッと引くのではなく、ジワーっとー引く感じだ。引っ掛けたあとの重さはハンパではないが、必死で抵抗するでもなく、なすがままに引き上げられてくる。釣れた魚は、写真を撮ると、全て川にリリースしてやるが、彼らはそのことを知っていて、無益な抵抗をしないのかも知れない。

Teles pires 2

テレス・ピーレス河の黄昏

3日間に亘って、太陽が昇る時間から日没まで、昼食の休憩時間を除いて魚釣りに没頭し、数えきれないほどの大物や、見たこともない怪魚を次々と釣り上げた。

Teles Pires 3

人懐っこい蝶々

あっと言うまに三日が過ぎ、達成感とともに、心から満足して帰路についた。(完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
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