(98)ブラジル人と信仰心。巡礼の旅

威風堂々としたアパレシーダのカソリック総本山

威風堂々としたアパレシーダのカソリック総本山

ブラジルの法律には、信仰の自由が明記されている。世界中の人種が集まっているブラジルには、あらゆる宗教が持ち込まれているが、ポルトガル植民地時代の16世紀に、宣教師によって布教されたキリスト教の信者が今日でも圧倒的に多く、国民の87%を占めている。内、カソリック(ローマン)信者は、国民の3分の2に当たる64,5%を占め、国別の信者数では世界一である。ブラジル全土にあるカソリック教会の数は、余りにも多くて統計的にもその数が定かではないが、その総本山はサンパウロとリオ・デ・ジャネイロのほぼ中間地点にあたる、アパレシーダ市にある。威風堂々とそびえる教会は、バチカンのそれにつぐ世界第二の規模といわれ、訪れる信者たちを圧倒する。

徒歩による巡礼者たち。皆、遠足気分だ。

徒歩による巡礼者たち。皆、遠足気分だ。

全国から参拝に訪れる人たちの数は、年間1千万人を超え、街は常に多くの人々で賑わっている。

この参拝のためにアパレシーダを訪れる旅は、「ロマリア(巡礼)」と呼ばれ、グループを組んだ人々が、約束ごとを誓い、感謝の意を捧げ、ご利益を求めたり、願い事をするために訪れるもので、目的が明確でなくても、単なる信仰心から、毎年訪れる人たちも多い。「ロマリア」の語源は、「ローマ(バチカン)訪問」であるといわれている。巡礼は昔から、徒歩または馬などで、何日もかけて苦労しながら訪れてこそ、ご利益があるといわれているが、近年では、ラクをして、車で訪れる人たちが結構増えており、その場合、同じご利益を授かるのかどうかについては、定かではない。

私が住んでいるモジ・ダス・クルーゼス市からも、毎年、たくさんの人たちが、秋から冬にかけて、グループを組んでアパレシーダに向かって巡礼の旅に出かける。多くの人たちは徒歩で、150キロの道のりを、一週間かけてテクテクと総本山をめざす。リュックを背負って街道沿いに、集団で一日8時間を歩行し、夜になると民宿でザコ寝をする。日が昇ると再び歩き始める。人々は、皆一応に明るく楽しそうで、巡礼とはいえ、まるで遠足のような雰囲気だ。

山を越え、川を渡り馬で巡礼の旅

山を越え、川を渡り馬で巡礼の旅

馬や馬車で出かける人たちも多く、山を迂回し、川を渡って、いくつもの農場を横切りながら、一日30~40キロのペースで、四日間をかけてアパレシーダに向かう。夜になると、あらかじめ許可を得ている最寄りの農場の一角で、キャンプを張って馬を休める。星空の下でとる夕食は、大概シュラスコ(焼肉)で、歌ったり、しゃべったりしながら和気アイアイの夜を過ごす。就寝は芝生の上に張ったテントだ。そこには、巡礼という言葉から受けるおごそかさとか、神妙さは不在で、友達同士による愉快な親睦旅行の雰囲気だ。徒歩にせよ、馬にせよ、少々の辛さを、明るく楽しくやりこなしてしまうところが、いかにもブラジル人らしい。

総本山では、遠路はるばる訪れた巡礼者たちに対し、神父が、グループごとに、祝福の儀式を執り行ってくれる。

ロマリアに向けて乗馬練習をする筆者夫妻

ロマリアに向けて乗馬練習をする筆者夫妻

「一年の計は元旦にあり」といわれるが、私は年頭に、今年、実現を目指すいくつかの事柄の一つに、午年にちなんで、馬でアパレシーダに巡礼することを加えた。というのも、再婚した妻が子供の頃、父親の農場で飼っていた馬に乗って遊んだ経験があったため、一年前から始めた乗馬にすっかり慣れて、自信もついたようで、一緒にロマリアに挑戦をしてみよう、ということになった。私は、6年前にリタイア-して、念願だった馬を取得して乗馬を再開し、昔取った杵柄で、今ではかなり長時間でも乗れるようになってはいるが、4日間で150キロの踏破は未経験で、それには人馬ともにそれなりの体力が必要だ。そこで今年に入ってから、一日おきに2時間程、愛馬に跨るようにしている。

楽チンな軽馬車

楽チンな軽馬車

どうせ行くなら家族の一員であるワンちゃんもつれていこうということになり、鞍を付けた乗馬用の馬を一頭と、もう一頭は軽馬車を装備して、それにワン公を乗せて行くことにした。乗馬で疲れれば、軽馬車を操ったり、代わる代わるにすれば、体力的にも楽チンで、さしもの150キロも楽勝だろうというコンタンだ。

家内も私もカトリック信者ではないが、総本山にお参りしても、罰があたることはないだろう。

4月の巡礼の旅を、今から楽しみにして、家内と共に乗馬に精を出している今日この頃である。 (完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
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