(95)ブラジル屈指の高級リゾート:ブジオス

リオ・デ・ジャネイロから170キロにあるブジオス

リオ・デ・ジャネイロから170キロにあるブジオス

リオ・デ・ジャネイロから車で、リオ/ニテロイ大橋を渡り、海岸線に沿って東に約170キロ走ると、ブラジルで最も有名なリゾート、ブジオスに到着する。

半島の周囲には23の美しい海浜がある

半島の周囲には23の美しい海浜がある

ブジオスは周囲が8キロの複雑な形をした半島で、23の美しい浜辺があり、赤道から南下する暖流と、南極から北上してくる寒流の交流点になっているので、温かい海水が打ち寄せる浜と、冷たい海水が流れ込む浜があることが、この地域の大きな特徴の一つになっている。入り組んだ海岸線にある浜辺は、どれも甲乙がつけ難いほど美しく、中でもジェリバー、トゥックンス、ジョン・フェルナンデス、フェハドゥーラ、フェハドゥリーニャ、アルマソン、マンギーニョス、タルタルーガ、オッソス、ブラバ、オーリョ・デ・ボイなどが特に美しく、人気がある。ちなみに末尾の2海浜はヌーディスト地域になっている。

ヌーディストたちが憩うブラバの浜

ヌーディストたちが憩うブラバの浜

ブジオスの年間平均気温は24℃で、時期を問わずさわやかでやや強めの風が吹き、同地域は、リオ州では最も年間雨量(750ミリ)が少ない。そのため、外国人たちから、「ブラジルの”サン・トロペ”」と呼ばれ、一年を通じて、世界中から訪れるツーリストたちは後を絶たない。

16世紀に、フランスの密輸業者が、ブジオスを拠点にして、パオ・ブラジル(幹が赤いブラジル特産の材木)を大量に本国に運びだし、17世紀になると、今度はアフリカから多数の黒人奴隷を運んできて、ブラジルにおける陸揚げ拠点とした。彼らは、奴隷導入が禁止された1850年以降も、闇で奴隷を陸揚げし続け、多大な利益を得た。このようにブジオスは、長期に亘ってフランス人によるひんぱんな往来があったが、彼らは、同地を商業ポイントとして活用したのみで、植民地にして住み着くことには興味を示さなかった。

19世紀になってからは、ブジオスの主な住民は漁師たちで、暖流と寒流が交わる、漁業には理想的な海の恩恵によって生計をたてていた。海流の関係で、時期になると多くの鯨が周辺の海を賑わし、それを捕獲した漁師たちは、肉を食用にし、採取した大量の油をブラジル中に売りさばいた。鯨の骨は集めて一つの砂浜に埋められたが、その浜は今日「プライア・デ・オッソ(骨の浜)」と呼ばれ、美しい海浜の一つとして人気を集めている。

1960年代になって、大都会から程よく離れ、閑静で美しいブジオスに目をつけたのが、サンパウロやリオ・デ・ジャネイロの、商工業界で活躍していたエリートたちで、マンギーニョスの浜に、同地では初めての、住宅(セカンドハウス)を、こぞって建て始めた。エリートたちは、この別荘を活用して、国内外の取引先や政治家を招待し、事業を有利に展開することに役立てた。ブジオスの美しさが、それに一役買ったことは言うまでもない。それがきっかけになって、ブジオスは、国内外の上流階級やセレブな人たちが訪れる、高級リゾートのシンボル的存在となっていった。

美しいブジオスの海を眺めるブリジット・バルドーの銅像

美しいブジオスの海を眺めるブリジット・バルドーの銅像

1964年に、当時世界的人気女優であったブリジット・バルドーが、ブラジルに在住していたマロッコス人の恋人、ボブ・ザグリと共にブジオスを訪れ、友人のアルゼンチン大使の別荘に長期滞在した。ブジオスの美しさにすっかり魅せられたバルドーは、本国に帰ってからも、機会ある度に、ブジオスの美しさへの賞賛の言葉を惜しまず、その後、お忍びで、クリスマスをブジオスで過ごすなどして、同地を心から愛した。それを一フランス人記者が世界中にリークし、それがキッカケになって、ブラジル・リオ州の片田舎にある漁村、ブジオスは世界に知られる存在となり、外人観光客が次々と訪れるようになった。当時、訪れる観光客を宿泊させるホテルがなく、人々は漁師たちの家で、民宿しながらブジオスの海を楽しんだという。ちなみに、ブリジット・バルドーが滞在した、元アルゼンチン大使の別荘は、「ポウザーダ・ド・ソール(太陽の宿)」という名の民宿に姿を替えて、今も観光客に親しまれている。

16、7世紀にフランス人たちが、莫大な富を得る拠点となったブジオスが、奇しくも一人のフランス人女性によって、「倍返し」の恩恵を被ることになったのだ。ブジオス市は、それに敬意を表し、砂浜に腰かけて、美しい海を眺めるブリジット・バルドーの銅像を、永久に街に残した。

最も美しい海浜の一つ、カラヴェラスの浜

最も美しい海浜の一つ、カラヴェラスの浜

1976年に、ブジオスがさらに脚光を浴びる事件が起きた。ブラジル映画界で活躍し、上流階級の人たちと広く交際のあった美人女優、アンジェラ・ジニスが、恋のもつれから情夫に殺害され、「オッソ(骨)の浜」で、無残な死体となって発見されたのだ。ニュースは瞬く間に世界中に流れ、高級リゾート、ブジオスの名はさらに広く知られるところとなった。

2002年には、ヨーロッパのある観光雑誌が、「世界で最も太陽と海を楽しめる場所」として、ブジオスを選んで掲載したことで、ヨーロッパにおけるブジオスの知名度は、決定的なものとなった。

特筆すべきは、ブジオスは、上流階級、外交官やセレブな人たちもさることながら、国の内外、何処からを問わず、芸術家、歌手や俳優などの芸能人が好んで訪れる、リゾート地として知られており、街角や浜辺で有名人に出くわすのは日常茶飯事だ。そんな時、ジロジロと見たり、振り返ったりしないのが、ブジオス流のエチケットだ。

ダウンタウンの商店街

ダウンタウンの商店街

ブジオスを訪れた外国人たちは、一様にその魅力の虜になってしまうが、その内、観光で訪れるだけでは飽き足らず、同地に住んで商売を始める人たちが出現しはじめた。中でも、フランス人とアルゼンチン人が多く、彼らによって、ダウンタウンに様々な店や、レストラン、バーなどが次々に軒を並べるようになった。ブジオスの海浜の美しさもさることながら、外国人たちが先鞭をつけた、ダウンタウンのエキゾティックな商店街も魅力的だ。お洒落なブティックや土産物屋、垢抜けのしたバーやレストランなどは、他のブラジルの街とは一風違った、独特の雰囲気を醸し出している。

丘陵から海岸に向けて広がるブジオス・ゴルフクラブ

丘陵から海岸に向けて広がるブジオス・ゴルフクラブ

私は、これまでにブジオスを三度訪れた。二度は、ブラジル・シニア・ゴルフツアーのブジオス・オープンに参加するためだ。ブジオス・ゴルフクラブは、なだらかな丘陵から海岸にかけて広がる18ホールのチャンピオン・コースで、北米のゴルフ場設計第一人者、ピート・ダイのプロジェクトによるものだ。ピート・ダイの手になるゴルフ場は、概して立木がほとんど無く、フェアウエイの両サイドはブッシュで覆われていて、曲がったボールを飲み込んでしまう。大き目のグリーンは、うねりが大きく、例えオンしても、常にスリーパットの可能性が伴う。極めつきは、海岸に近い180ヤードのショートホールで、常にアゲインストの強い浜風が吹いていて、ドライバーで叩いても、ヤットコさ届くかどうかである。私は、この難コースの攻略に手こづり、入賞どころか、二度とも下位に甘んじてしまった。

ブジオスに向かう大型客船

ブジオスに向かう大型客船

三度目は、サントス港からデラックス客船で、大陸沖を北上して終着点、ブジオスに向かう3泊4日のツアーに参加して訪れた。前回二回はゴルフに集中していたので、折角の観光地を何一つ楽しむことなくブジオスを後にしたが、三回目になってその美しい海浜巡りや、エキゾチックな商店街のそぞろ歩きなどで、初めて高級リゾートを心ゆくまで堪能することができた。

船旅といえば、50年前に移民船でブラジルに渡った時は、劣悪な環境の船倉と、重症の船酔でロクに食事もできなかったことが記憶に残っており、いい思い出はなかったが、今回はそれ以来の船旅で、うねりの少ない近海を大型客船で航行したせいか、揺れも少なく、食事もおいしくて、快適な旅を楽しむことができた。

美しいジュケイーの海岸

美しいジュケイーの海岸

実は、ブラジルにはブジオスのように、何かがキッカケになって高級リゾートとして脚光を浴びる可能性のある場所がいくつかある。サントスからリオ・サントス街道を、海岸線に沿って80キロ北上した所にある、ジュケイーという街もその一つだ。規模は小さいが、一昔前のブジオスを忍ばせるような、さしずめ、ミニ・ブジオスといった雰囲気の街だ。モジ・ダス・クルーゼスに住んでいる友人のセカンドハウスがジュケイーにあることから、偶然知ることになったが、美しい海浜、洒落た店々、垢抜けたバーやレストランなどがあって、既に多くの中・上流階級の人たちが、海辺にセカンドハウスを構えている。それからさらに、30キロをリオ方向に進むと、マレジアの街がある。こちらはジュケイーよりやや大きく、ダウンタウンの店の数も多くて、立ち並ぶ別荘の構えはジュケイーの家々より一回り大きい。この街の海はサーフィンに向いているので、遠方から若者たちがこぞって訪れるため、年中活気に溢れている。リオ・サントス街道沿いには、それ以外にも、何かがキッカケになって、将来ブレークしそうな、海が綺麗でお洒落な街があるリゾート候補地が、まだまだたくさんある。(完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
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