(85)美人を量産するブラジル

「あれっ、やったのね。いくら入れたの?」

「200にしたわ。あなたは180だったっけ?」

「まり子さんったら、250だって。ちょっとオーバーよね!」

「はる子さんは、150入れたのを、230のに取り替えたのだって..よくやるわねーっ。」

ある日系人たちのパーティーにおける40代の女性たちの会話だ。何かの入札に関する話のようだが、実は整形外科で、それぞれがオッパイにはめ込んだシリコンの量に関する打ち明け話とうわさ話だ。

昨今では、ブラジル人の間で、あたかもアクセサリーを買うかの如く、気軽に、しかもひんぱんに、整形外科を施す女性たちが急増しており、特筆すべきは、彼女たちは手術をしたことを特に隠そうともしないことだ。

比較的保守的といわれる日系人女性たちがこの有様だから、開放的で虚栄心の強いブラジル人女性においておや、である。

IBOPE(ブラジル地理統計院)の統計によると、昨年一年間にブラジルで行われた整形手術の数は64万件で、一日当たり1700人の整形美女が誕生している計算になる。しかも、これは病院の手術室で行われる比較的大きな手術の数で、整形外科医の個人診療所で施行される、まぶたや鼻などの小さな手術は含まれていない様なので、実数はおそらくこの倍以上であろうと思われ、統計的にはほぼ同数のUSAより、ブラジルの方が現実的には多く、多分世界一であろう。ちなみに、整形外科医は、全国で約3千人いる、とのことである。

ダントツに多い乳房の手術手術を受ける82%が女性であるが、意外と顔以外の部分の手術が圧倒的に多い。中でもダントツは、乳房にシリコンを入れる手術である。他には、リッポと呼ばれる腹部の脂肪を取り除いたり、またはヒップなど他の部分に移植するものや、ヒップの形をシリコンで整える手術が多く行われている。また、膣のサイズを狭める手術も一般的に行われているようで、いかにもセックスライフを大切にする、ブラジルらしくて興味深い。

最も多い、オッパイにシリコンを入れる手術については、女性たちは、オーダーメイドのドレスを注文するように、いとも簡単に手術に踏み切るようで、統計によると、275ccのシリコンがブラジル人女性たちの平均的注入量である。

モノの本によると、日本人男性が最も好む女性のオッパイの大きさは、手の中にスッポリ納まる、いわゆる茶碗を伏せた位のサイズであるとされているが、それだとせいせいぜい180ccなので、ブラジル人男性が好むオッパイ・サイズは、日本人のそれの1,5倍ということになる。しかし中には300や350ccを注文する虚栄心の強い女性たち(もしくは、夫や恋人がデカパイ好み)も結構いるようで、そんなケースには、外科医は体格に似合ったサイズを装着(?)するように、説得に努めるという。

目や鼻は最も簡単な手術まぶたの脂肪分を除去して、お目目パッチリにしたり、鼻の先端を細くやや上向きでキュートにする手術などは、最も簡単な部類に入り、経費も2000レアール(約10万円)と比較的安価な上に、腫れも2~3週間で完治するので、若い女性たちも極めて気軽に手術を受けているようだ。

ブラジルでは一ヶ月の有給休暇が義務づけられているが、休暇明けで出社した女性社員が、見違えるような美人になっているケースなど、日常茶飯事だ。

ブラジルは、元々世界で最も美人の多い国の一つであるといわれているが、昨今では整形美人が急増しているので、益々他の国との美人度の差が広がるかも知れない。

また、技術的にもブラジルの整形外科医たちはレベルが高いといわれており、費用が割安であることから、北米やヨーロッパから手術に訪れる外国人たちは、後を絶たないという。

私は、ブラジル・アマチュア・シニアゴルフツアーに参戦しているが、中には70歳を過ぎたプレーヤーも多い。その年になると、永年に亘って開閉作業を繰り返したまぶたは、疲労が蓄積して弾力がなくなり、目をふさぐ形で垂れ下がってくる。そうなると視界が狭まり、ショットしたボールを見失ったり、距離感がつかめなかったり、さらにパターのラインがぼやけたりする。

昨年末のあるシニア・トーナメントのことだ。私の友人で、2年前にエイジ・シューターを2度も達成した76歳のN氏が、いつもは使わない、濃い目のサングラスをかけたままでプレーし、久方ぶりにグロス80を切ってホールアウトした。終了後、シャワーを浴びる段になってメガネをはずしたら、なんと、両眼が何かに驚いたように見開いた状態になっているではないか。それを見て逆に驚いたのは友人たちで、何が起こったのか尋ねたところ、2週間前にまぶたの手術を施したばかりなので、直射日光を避けるためのサングラスだという。彼曰く、距離感も抜群で、パターのラインもバッチリだ、とのことであった。それを聞いた70年代のシニア・ゴルファーたちは、早速こぞってまぶたの手術を受け始めた。

例年、年末年始には娘たち家族が、揃ってグアルジャー島でやもめ暮らしをしている私を訪ねてくれる。昨年末に雑談がてら、彼女たちにその話をしたところ、

「そういえば、近頃パパのまぶたも相当くたびれているわね。年明けにでも手術を受けたら?きっと若返って、新しい彼女ができるかもよ。」

などと、親をからかって、事もなげに言う。そして驚いたことに、

「よかったら、私たちが手術をした医者に、予約をいれておくわよ。」

よく聞いてみると、3人の娘たち全員が、いつの間にか、目や鼻の手術を施していたようで、一人など乳房にシリコンまで入れたという。知らぬは親父のみなりき..で、”自分の血を分けた娘たちだけあって、いつまでも結構美人だわい..”などと、目を細めていた自分が、この時ほどバカらしく感じられたことはない。

という訳で娘たちは、3月9日に私のまぶたの手術を、自分たちが懇意にしている医者に電話をして、予約してしまった。

手術は、わずか30分であっけなく終わり、そのまま歩いて家に帰ったが、2週間が経過して、まだ腫れが少し残っているものの、鏡に写った吾が顔は、たしかに数年若返ったように見える。

ブラジルで施行されている整形手術の18%は男性だが、統計によると、まぶたと鼻の手術が圧倒的に多い。男性で極端な手術になると、腹部に波打ったシリコンを入れて、洗濯板のようになったムキムキの腹筋に見せる手術もあるそうだ。   (完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: その他、色々 パーマリンク

(85)美人を量産するブラジル への2件のフィードバック

  1. 葉子 より:

    mshoji さん はじめまして。こんにちわ。 日本の北海道からmshojiさんの素敵なブログを観ています。
    娘さん、女の子のお孫さん、とても美人で羨ましいです。mshojiさんの文章に感動しました。
    ブラジル人の男性と音楽を通じて友達になりました。まだ直接会ったことは無いのですが、ブラジルの文化についてとても興味があります。mshojiさんのブログをこれからも楽しみにしています。その知り合いはブラジルでクラシック音楽を演奏しています。
    ありがとうございます。

    • mshoji より:

      コメントをありがとうございます。北海道の春も、もう間近ですね。女性のトランペッターって、少ないのでは...ブラジルはラテン・ミュージックで溢れている国です。クラシック音楽の演奏者とは、きっと一風変わったブラジル人なのかも..これからもよろしく。

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