(64)恐るべし、ブラジルのコリアン・パワー II

韓国人経営の衣料品店がズラリと並ぶボン・ヘチーロ区

ボン・ヘチーロ区にある1800店の衣料品店の80%は韓国人がオーナーだ。ブラス区の1000店を含めると、実に2500店が韓国人経営になっている。
ほとんどの店が、下着専門店、カジュアル、パーティー・ドレスから花嫁衣装専門店に至るまで、ありとあらゆる種類の女性用衣料品を扱っているが、衣料品の製造に欠かせないボタン、ホック、チャック、レースなどの付属品専門店も韓国人経営の店が続々と出現した。

小売りだけでなく、ブラジル全土に卸売り販売網を拡大し、わずか半世紀足らずで、アパレル業界を完全に牛耳ってしまった。

このようにして、5万人といわれる韓国人コミュニティーの85%に当たる人たちが、アパレル業界に従事している。

下着からパーティードレスまで、あらゆる女性用衣料品が製造販売されている

韓国人たちについて特筆すべきは、競合する相手が、ユダヤ人でもトルコ人でもなく、同じ韓国人であるという点だ。
彼らは、同国人には絶対に負けたくないという、執念のようなものを持っている。他の韓国人が月100万ドルを売り上げれば、自分は120万ドルを目指す。一人が高級車を購入すれば、それ以上の高級車を手に入れる。知り合いが2LDKのマンションを購入すれば、自分は3LDKに住居を構える。誰かがゴルフを始めれば、我も我もと競ってゴルフ場に通う。
こうしてとめどなく目標はスライドして、勝つまで切磋琢磨してお互いに譲らない。その旺盛な闘争心と執念たるや、とても日本人の想像と理解の域を超えている。
彼らはブラジルに到着して以来、コミュニティーが総出場して、まぎれもなく「金儲けレース」を展開しているのだ。

5万人のコミュニティーの半数は、幼少の頃にブラジルにやって来たか、あるいはブラジル生れの二世たちであるが、韓国人は日本人に劣らず教育熱心で、子弟たちは、一昔前までは、日系人の専売特許であった国内の一流大学への高い合格率をおびやかすほど、合格率が高く優秀である。彼らは国内の大学にこだわらず、子供たちをどんどん北米にも留学をさせる。

そんな子弟たちは、大学を卒業しても日系人のように、医者、弁護士、技術者あるいは高級サラリーマンなど、エリートの道を選択する事にこだわらず、大半は親たちが開拓したアパレル業界に身を投じて経営に参画する。その理由は他でもない、その方が「はるかに金になる」からだ。

実は、韓国人たちが(偶然?)手掛けた、女性用アパレル業界というのは、ブラジルにおいては巨大市場なのである。というのは、ブラジル女性たちは所得の高低に関わらず、収入の35%を衣料品に費やす、世界でも有数のオシャレな人種だからだ。
5万人の韓国人コミュニティーが束になって取り組んでも、まだまだ余裕のある業界なのだ。彼らのブラジルにおける職業の選択肢は、正に「ビンゴッ!(大正解)」だったのだ。

さて、半世紀に亘る「金儲けレース」の結果はどうかというと、現在では、超勝ち組、勝ち組、そこそこ組、不振組とある程度の色分けは出来ているようだ。アパレル業界における不振組は、レストラン業界など他の業種に転身する人たちも出ている。
ちなみに、韓国料理のレストランはサンパウロ市内に90店ある(日本料理店は400店)。

勝ち組の人たちは、高級住宅地のイジェノーポリスやイビラプエーラ区の高級マンションに住み、そこそこ儲けている人たちは中流住宅地のアクリマソン区にマンションを購入している。今でもまだブラス区、ボン・レチーロ区に住んでいる人たちは、イマイチの人たちだ。
このようにステイタス階層が明確になりつつあるようだが、彼らのコンセプトによると、韓国人コミュニティーで最も尊敬される人はといえば、最も金儲けをした人たちということのようだ。

LGの薄型テレビ。ソニーも松下も後塵を拝している

韓国人たちより移民史に於いて半世紀長ずるブラジル日系人社会では、子弟たちはあらゆる業界や職業に従事してブラジル社会に融合し、全国的に広がって活躍しているが、韓国人は人口の85%がアパレル業界に従事し、90%がサンパウロ市内に在住していて、コミュニティーは偏重傾向にあり、日系人コミュニティーとは、好対照を成しているが、そのせいで日系人と韓国人が互いに職業的に競合することは、今のところ余り見られない。

そして特筆すべきは、移民の歴史がわずか半世紀にしかならないのに、彼らの生活レベルは総じて中流階級以上に属していて、極めて高いことである。
彼らはよく働き、よく食べ、よく遊んで、日系人たちよりはるかに人生を楽しんでいるように見受けられる。

アパレル業界の巨大さと奥深さを考えると、韓国人たちの快進撃はこれからも継続し、彼らの間の「金儲けレース」は、今後もますますヒートアップするであろうと思われる。

ブラジルで大ヒットしたヒュンダイ社のトゥクソン

韓国からの企業進出も活発である。日本からの進出企業400社に比べ、まだ120社程度であるが、サムスンとLGは、業界では先発の東芝、日立、パナソニック、ソニーを既にしのぐ業績を挙げている。
自動車業界においては、先発のトヨタ、ホンダにヒュンダイが、シェアーに於いて、既に肩を並べている。個人とは異なって、企業間の競合に関しては、韓国企業は日本企業を強く意識していることは明白である。

このように個人的にも企業としても、韓国系は、遠くアジアから離れたブラジルにおいて、あたかも水を得た魚のように、のびのびと、そして遺憾なくコリアン・パワーを発揮している。

さて、ブラジルでは知識層の人たちこそ、日本と韓国の、国や人種の違いをある程度理解しているが、一般庶民は同じ民族くらいに思っていて、特にその違いを気にする人は少ない。

私は、日本に居た時には韓国人との付き合いはほとんどなかったので、日本人との違いや共通点に関する知識は余りなかったが、こうして同じ街に住んでいると、彼らと接触する機会も多く、その違いがよく解る。
日本人と韓国人は、外見はよく似ているが、その文化と習慣には大きな違いがあり、それは両者が同居しているブラジルに於いて、極めて顕著に現れている。

先ず、韓国人はブラジル人と同じように感じたことをストレートに言葉で表現するので、ブラジル人にとって、日本人より解りやすいかも知れない。
遠慮や尊慮のコンセプトは不在で、表現と態度はアグレッシブで、ラテン民族と共通点がある。
「駄目で元々」の考え方が主流で、発想と行動が非常に大胆である、などがあげられる。

バカ売れするサムスンの携帯

私にとっては、韓国人は、日本人に比べ、より西洋人に近いような気がする。シルクロードを経由して伝わった西洋文化は、韓国で行き止まりになり、日本に伝わる率がずっと少なかったせいかも知れない。

ところが、これがこと二世になると、お互いにブラジル文化や習慣を吸収して育つので、ポルトガル語で話していたりすると、韓国系と日系はほとんど見分けがつかないくらいよく似てくる。
同種、同量の西洋文化を吸収すると、ルーツに関係なく、同じような東洋人が出来上がる、ということであろうか。    (完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: その他、色々 パーマリンク

(64)恐るべし、ブラジルのコリアン・パワー II への2件のフィードバック

  1. MARQUIS より:

    韓国人は東洋のラテンとは同感です、空港で大声で叫び抱き合う姿、カラオケで人の迷惑考えず大声で怒鳴るように歌い、悲しいときは大声で泣きます、又笑います。
    日本の産業(アパレルも含む)は中国へ出る前は韓国に競って工場を作りましたが所得が上がり撤退しました、特にアパレルは日本が指導し良いものを作る様になりましたが、現在の中国と同じく贋作を作りが今でも問題です、国民性ですかね??日本も戦後に欧米の真似、偽者作りやってましたが、それから成長し世界に通用する様になりました、韓国も充分に一級品を作れるのに!!!

  2. 毎回愛読させていただいてます.自分のブログにこちらのアドレスを掲載させていただきました.よろしくお願いします.

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