(42)驚くべき水量・イグアスー瀑布

巨大な水の壁。悪魔の喉仏


膨大な水量と、耳をつんざくような轟音、飛び散るしぶきが雨のように降り注ぐ。人々はただただ圧倒されて立ちすくむ。イグアスー瀑布の最深部、「悪魔の喉仏」を見上げる桟橋の光景だ。

サンパウロから1時間半のフライトでイグアスー空港に到着する。イグアスー大瀑布は、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ三国の国境を流れるパラナ河が、数万年前に陥没して出来た滝で、延々3kmに亘って、275もの大小の滝が、平均落差65m(最大落差は82m)で、膨大な量の水を落下させている。

駐車場につくと、もう轟々たる音が耳に届く。曲がりくねった階段を二つ三つ降りると、小さな滝が見え始め、その内、滝は次第に大きくなり、水量も増えてくる。気の早い観光客の中には「わーっ、凄い!」などと言って、早速カメラを構える人たちがいるが、その辺りの滝はまだ序の口である。
さらに階段を降りると、轟音が一段と大きくなり、左手前方に圧倒的な大きさの滝が目に入る。その奥が「悪魔の喉仏」だ。滝つぼに向かって、細長い桟橋が伸びている。桟橋に足を踏み入れると、細かいしぶきが霧のように降り注ぐ。さらに進むと霧は小雨にかわり、巨大な水の壁がすぐ目の前に迫ってくる。

イグアスーを訪れた12回生。北川君(左端)、牧村君(右端)たちと。


何という水量、何という轟音、そして何という荒々しさ、人々はただその荒れ狂う巨大な水の山に圧倒され、言葉を失って立ちすくむ。
霧は無数の虹を生み出し、粗暴な瀑布に一抹の優しさを添えている。観光客たちは、ふと我に返って、カメラを構えるが、被写体が大きすぎて、とても全部はファインダーに収まらない。ほんの一部を切り取ってシャッターを押すことになる。

戦後間もなく、ブラジルを訪問したアメリカのルーズベルト大統領夫妻がイグアスー瀑布を訪れた際、夫人をして「ああ、私の可哀相なナイアガラよ!」と言わしめた、という逸話がある。ちなみに、ナイアガラ滝の水量は、イグアスーのわずか10分の1である。

アルゼンチンとの国境にある滝を、ブラジル側からは見上げるかたちになり、アルゼンチン側からは見下ろすことになる。アルゼンチンには申し訳ないが、滝というものは見上げる方が遥かに壮観であることはいうまでもない。

イグアスー公園に生息するツッカーノ(おおはし)


それでも、折角だから、ついでにアルゼンチン側から滝を見下ろすのも一興だ。船頭がラテンの乗りで、ゴムボートを、日本人の常識では考えられないくらい、滝壺のすぐ近くまで乗り入れてくれて、結構スリルが味わえる。

イグアスーの滝は、1976年にユネスコの世界自然遺産に登録されているが、それには周囲の国立公園も含まれている。滝の隣には園内に生息するオオハシなど、数々の鳥類を集めた動物園があり、一見に値する。

イグアスー市からパラナ河に架かる、ポンテ・ダ・アミザーデ(友情の橋)を渡るとパラグアイ側のシウダ・デル・エステ市に至る。この街は、貿易フリー・ゾーンで、世界中からあらゆる商品が無税で

パラグアイとの国境に架かる「友情の橋」


持ち込まれているので、ブラジル側から買出しに訪れる人たちが引きも切らない。商品のブラジル側への持ち出しは、一人当たり500米ドルまでは無税ということになっているが、クリエイティブなブラジル人たちは、様々な策を講じて、無税で大量に商品を運び出すことを試みる。例えば、複数の運び屋を雇って、国境の橋を渡る間だけ、荷物を小分けにして運ぶ、なども一つの方法だ。彼らはそれをサンパウロ、リオなどの大都会にまで運び、売りさばくことを生業にしている。

イグアスー瀑布のあるパラナ河をさかのぼると、全長8km、高さ196mの威容を誇る、イタイプー発電所がある。発電能力1万4千メガワットは、世界最大の規模だ。
(完)

世界最大規模のイタイプー発電所

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
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