(29)ブラジルの代表料理・フェジョアーダ

土鍋のフェジョアーダと多彩な添え物

準備完了の皿

「フェジョアーダ」は、ブラジルの代表的な料理の一つだ。タン、リブ、乾し肉、耳、鼻など、様々な豚肉と腸詰の小片を、黒豆で煮込んだもので、レストランでは、香ばしい香りと共に、小ぶりの土鍋に入れられて、テーブルに運ばれてくる。

添え物は、白ご飯、茹でたケールの細切り、豚皮のフライ、タロ芋の炒り粉、みかんの輪切り、薄手のリブステーキなど多彩で、テーブルに所狭しと並べられる。オプションとして供される、ピンガ(ブラジルの地酒)にレモンと砂糖を入れたカクテルを食前酒としてショットグラスでパッと開けてから、おもむろに料理に手をつけると一段と食欲が増す。

食べ方は、まず皿の1/3ほどにご飯をとる。その隣に土鍋から選りだした好みの豚肉の小片を添え、たっぷり黒豆の入った煮込み汁をかけて、その上にタロ芋の炒り粉を振りかける。余ったスペースを、ケール、みかんの輪切り、豚皮のフライ、リブステーキを並べて埋めると、準備完了だ。あとは、カレーライスを食べるように、煮込みとご飯を混ぜながら口に運ぶ。時々おかずを食べるようにケール、みかん、その他にランダムに手をつけるというのが、オーソドックスなマナーだ。ちなみに、唐辛子を少し利かすと、また一味ちがう。

この料理は、毎週水曜日と土曜日の昼食に、まるで宗教行事よろしく、判で押したようにブラジル中のレストランで供され、その日だけは、肉体労働者から大企業の役員に至るまで、あらゆる階層の人たちが、全国で同じ料理を口にする。

フェジョアーダは、一人だけで食べる料理ではない。一つの土鍋には、たっぷり二人分が納まっているので、4,5人でテーブルを囲み、土鍋二つを注文すると、効率がいいだけでなく、親近感が増し、会話がはずんで楽しい。

やや塩味が効いているフェジョアーダには、何といってもビールが合う。水曜日は、午後にまだ仕事が残っているのでアルコールを口にする人は少ないが、土曜日は午後の心配がないので、生ビールを片手に、たっぷり時間をかけて、フェジョアーダを心ゆくまで味わうのが、ブラジル人たちの一般的なスタイルだ。

フェジョアーダは、18世紀の植民地時代に黒人奴隷が、農場主たちが食べ残した屑肉を、主食であった黒豆の煮物に加えたことから生まれた料理であると言い伝えられている。

その一方で、歴史家たちは、ポルトガルの北部に、古くから白豆と肉の小片を煮込んだ料理が存在しており、それがブラジルに伝えられたものであると主張して譲らない。

どちらも正しいというのが、どうも真相のようだ。ヨーロッパに古くからある料理に、黒人のクリエイティブな発想が加えられて出来上がったのが、ブラジルのフェジョアーダであるという説に、説得力がある。

ブラジルに着いて三日目に、会社の先輩たちが、フェジョアーダをご馳走してくれた。豚の鼻や耳の入った料理で、どうも私を驚かそうと思ったようだが、残念ながら彼らの当ては外れてしまった。というのは、私は驚くどころか、耳や鼻の小片をパクパク口にしたからだ。特に耳は軟骨の歯当たりが気に入って、土鍋をあさって選り出しては口に運ぶので、先輩たちはあきれてしまった。それ以来、フェジョアーダは私の大好物の料理の一つになった。 (完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: その他、色々 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中