(28) 地上最大の祭典・リオのカーニバル

カーニバルの主役、巨大な山車

美女が行進の要所に配置されている

カーニバルのお祭りは、11世紀にカトリック教会が、セマナ・サンタ(聖週間)を設定し、その前の40日間を「クアレズマ」と呼ばれる、断食期間と定めたことに始まる。この長い耐乏期間であるクアレズマが始まるのは毎年2月の水曜日で(年によって週が異なる。3月になることもある)、その前の数日間を、目一杯飲み食いをしてドンチャン騒ぎをする習慣が、その後、カーニバル祭りにつながっていったといわれている。

仮装大会や、舞踏行列などが取り入れられた近代カーニバルは、19世紀のビクトリア王朝時代に、パリで行われたカーニバル・パーティーがその草分けで、その後世界中に広がっていった。特に、ニース、ニューオーリンズ、トロント、リオ・デ・ジャネイロなどの都市では、パリ仕様のカーニバルを基にして、次第に独自のスタイルによるカーニバルが考案され、発展していった。

地上最大の祭典といわれている、リオ・デ・ジャネイロのカーニバルは、金曜日の夜半に始まり、火曜日の明け方まで、延々と祭りが続く。

リオのカーニバルのメインエベントは、日曜日と月曜日の夜にサンボドロモと呼ばれる会場で披露される、スペシャル・グループのエスコーラ・デ・サンバ(舞踏行進グループ)12組の競演だ。一年を費やして準備し、練習を積み重ねた成果を披露すべく、また莫大な賞金の獲得を目指して、絢爛豪華な一大スペクタクルを繰り広げる。各グループは、約3千人のメンバーで構成されており、十数個のセクションから成り立っている。各セクションは、巨大な山車に先導され、意匠をこらした色とりどりの衣装を身にまとった男女が、満面に笑みをたたえ、サンバの曲に乗って軽やかにステップを踏みながら、全長700メートルの花道を、90分かけて練り歩く。要所には、カーニバルの花である、肌も露わな美女たちが配置され、優雅に腰を振って観客の目を楽しませる。花道を見下ろす観覧席を埋めた7万人の観衆は、行進するグループと一体となって身体を揺すりながら足を踏み鳴らし、サンバを唄って声援を送る。そして、巨大な会場が、そっくりそのまま興奮のるつぼと化す。

それぞれのグループは、カルナバレスコと呼ばれる、カーニバル演出家によって考案されたテーマに従って、舞踏行進を展開する。テーマは様々で、ブラジルの歴史上の出来事や、最近の話題などが取りあげられことが多いが、時には遠い東洋の出来事がテーマになったりする。行進は、十数個に分けられたセクション毎に、テーマに関連した内容を、衣装や振付けで表現し、90分をあたかも一つのストーリーを語るように展開してゆく。行進中に奏でられ、全員で踊りながら合唱するテーマ曲のサンバは、毎年新たに作詞作曲がなされる。

オッパイ丸出しはカーニバルでは当たり前

12グループによる競演の勝敗は、6名の審査員による採点で決まるが、その対象となるのは、テーマの筋書き、テーマ曲のサンバ、山車群、旗手、露払いチーム、衣装、楽隊、女性の美人度、観客の受け、などで各項目が1点から10点で評価され、合計点数の最も多いグループが、その年のチャンピオンとなる。また下位2チームは、スペシャル・グループから陥落し、翌年はその下のAグループから1,2位が昇格する。各グループは、高額賞金と名誉をかけて、90分間で、渾身の大行進を行う訳である。

このような壮大な祭りの準備は、とても片手間で出来るものではない。それぞれのエスコーラ・デ・サンバ(グループ)は、カルナバレスコが演出するテーマに応じて、3千人分の衣装と、セクションを先導する十数台の巨大な山車を、一年をかけて製作・準備する。こうなると祭りというより、数千人の雇用を創出する、いわば一つの産業である。

リオ・デ・ジャネイロに3年間在住していた私は、毎年2月になると、カーニバル見物に行ったものだ。今も、その時期に日本から客があると、必ずカーニバルに案内することにしている。初めての人は、例外なく、想像を遥かに絶したスケールの大きさに驚嘆する。行進は、夜の9時に始まって翌朝5時まで続くが、日本人の(特に年配の)観光客は、最初の2、3時間は回りに触発されて、客席で身体を揺すったりしているが、イマイチ、ラテンのバカ騒ぎに溶け込めないのか、夜も更けてサンバが最高潮に達する頃になると、申し合わせたようにコックリコックリと船を漕ぎだす。それでも、明け方の終了間際になるとハッと目を覚まし、あわてて再び身体を揺すりだす。ほとんどの人が同じパターンなのが、見ていて微笑ましい。高い入場料を払って、少しもったいない気もするが、身についた早寝、早起きの習慣は、いかんともし難いのだろう。ちなみに、入場料は、自由席だと200ドル、指定席は700~1000ドル、 ボックス席になると1500ドル(年によって変動あり)と、地上最大の祭典にふさわしく(?)決してお安くないが、観客席は国内外から集まる観光客で、毎年、立錐の余地が無いほどに埋まる。                       (完)

 

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: (す)スケールが大きい, (ラ)ラテン気質は陽気 パーマリンク

(28) 地上最大の祭典・リオのカーニバル への2件のフィードバック

  1. ちゅんちょご より:

    はじめまして
    ブラジリアンワックスの由来を調べ
    ブログの中でリンク貼らせていただきました
    ありがとうございました

    • mshoji より:

      あなたのブログ、何とも軽妙で、感性にあふれ、ユーモアがらみのタッチが魅力的ですね。どんな方なのか、興味を引かれます。ちなみに、ラテン系女性のアチラの毛は、一般的にやわらかく根が浅いようです。どちらかというと、根が深かそうな日本人女性が、ブラジリアン・ワックスを真似すると怪我するかも..

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中