(25)アルコールかガゾリンか?フレックス車

アルコール/ガゾリン両用車にはFLEXの表示


 ブラジルで販売されている新車の86%は、フレックス・エンジンを搭載している。このエンジンは、ガゾリンとアルコールのどちらにも対応する優れもので、クリエイティブなブラジル人の面目躍如たる最高傑作である。燃料タンクの入口に取り付けられたセンサーが、揮発ガスでガゾリンかアルコールか、またはその混合率を感知し、キャブレターに情報を送っていずれの燃料でも同じようにエンジンの稼動を促すシステムになっている。2003年に初めてフォルクスワーゲン社のポピュラータイプ車に搭載されたフレックス・エンジンは、直ちに爆発的な人気を博し、記録的な売上を呈した。他のメーカーも直ちに追従し、今ではほとんど全ての国産車が、同種のエンジンを搭載している。

アルコール/カゾリン、どちらでもOK


そもそも、車をアルコールで走らせることを、最初に考案したのは、ブラジル人のエンジニアーで、第一次オイルショックで世界中がパニックに陥っている際に、ガゾリンの代替として、アルコールで作動するエンジンを開発して世界をアッと驚かせた。当時、街を走る自動車の80%はアルコール車で、その排気ガスが街中にあふれ、アルコールに弱い歩行者の中には二日酔い状態になる人もいたという。

それを契機に、広大な国土を活かして、砂糖キビを精製したエタノール・アルコールの生産が国策として奨励されるようになった。現在では世界一の年間200億m³が生産され、製造工程も合理化されて、劇的にコストダウンされている。

その一方で、政府は油田の開発にも力を注ぎ、リオ・デ・ジャネイロ海域の大陸棚に、1897年に発掘されたカンポス海底油田を手始めに、次々と近海に海底油田が開発され、2006年には遂に、自給自足体制になるに至った。今では、どんなオイルショックがいつ起こっても、ブラジルはビクともしない。

緑アルコール、青ガゾリン・赤ハイオク・ブラジルのスタンド


私もフレックス・エンジンを搭載したホンダを愛用しているが、使用する燃料はガゾリンとアルコールのその日の相場で選択する。アルコールの価格はガゾリンの40%~50%安で変動するが、ガゾリンはアルコールに比べて6割方走行効率がいいので、4割安以下ならアルコールがお得用ということになる。エンジンの牽引力はどちらでもそれほど差は感じないが、満タンにするとガゾリンの方が長持ちするので、100キロあるサンパウロまで、週二回往復する長距離ランナーの私は、どちらかといえばガゾリン党だ。        (完)

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: (す)スケールが大きい パーマリンク