(9)多様性に富んだ国・ブラジル II

孫のVitoria さくら(4才): 日本、イギリス、イタリア、ポルトガル(アフリカ系少々)各1/4

移民とその子孫たちが、祖国のことを、とっくの昔に忘れて、ブラジル人になり切っているかというと、実はそうではない。それぞれが、しっかりと自分たちの文化や習慣を継承して、大切にしている。
それは特に、食生活に顕著に表れる。例えば、イタリア系の家族は、日曜日には必ず家族が揃って、スパゲッティーを食べる。ちなみに、本来はイタリア料理である、ピザ、ラザーニャ、ニョッキなどは、日常的にブラジル人たちが口にする、いわば準ブラジル料理になっている。ポルトガル系は、鱈(たら)料理が好物だ。日系の家庭では、煮物、味噌汁、刺身などが、食卓にあがる。アラブ系の人たちは、キビ、エスフィッハやカフタを主食にしている。スペイン系の家族は、パエーラで食卓を囲む。ドイツ系はソーセージ類を好み、ビールが大好きだ。ユダヤ系の人たちは、魚介類を口にしない、などなど。

街には、各国の郷土料理を供する本格的なレストランが、軒を並べている。特にサンパウロでは、居ながらにして、世界中の料理が味わえるが、中でもイタリアン・レストランが最も多い。日本料理店も300店以上あって、ブラジル人たちで賑わっている。そんな所にも、ブラジル人の親日家ぶりが窺える。

また、それぞれの民族の特徴も受け継がれており、従事する職業にもそれが反映される。
例えば、ポルトガル系は融通が効かないことで知られており、都会ではパン屋やバール(街角のスナック)など、比較的単純な商売の経営者が多い。一方、地方では、植民地時代に移住して来た先祖が取得した土地を相続(ブラジルの相続税は最高4%)して、農場や牧場を経営している人たちが多い。トルコ、アラブ、リバノ、シリアなど、シルクロードがらみの中近東系は、商工業にその豊かな商才を如何なく発揮している。ユダヤ系は堅実で、金融業や不動産業者が多い。日系人は、正直で勤勉であることで知られており、医者、エンジニアー、エコノミスト、会計士などに向いている。南部地方に多いドイツ系は、ユーモアに欠けるが、勤勉で賢く、信用がある。
人口的に最も多いイタリア系は、陽気で世話好き、家族想いであるのに加え、話し好きで、会話するとき手振りが大きいので、すぐ見分けがつく。商工業から法曹界、政界に至るまで、どの民族よりも幅広い分野で活躍している。俗に言われるブラジル人気質は、このイタリア系の影響を最も強く受けていると思われる。ちなみに、イタリア系ブラジル人の総数は2千500万人で、ブラジル人の8人に1人はイタリア系ということになる。韓国系は大半が都市に在住しており、アパレル業界に圧倒的に多い。その他、ロシア系は、何故か、ズル賢いという印象を持たれており、スペイン系は、プライドが高く、ポルトガル語を積極的に覚えようとしない唯一の民族で、ポルトガル系と折り合いが悪い。アフリカ系は、経済的に恵まれない人たちが多いためか、犯罪者に占める割合が多いが、一方で、その優れた身体能力で、プロ・サッカー選手が圧倒的に多い。

 既に移民を受入れていないブラジルでは、世代の移行とともに混血が進み、次第にその身体的、性格的特徴は失われていくのではなかろうかと思われる。

混血ファミリー 次女と孫たち

 混血の子供が3名いるわが家を例にとると、三女の、饒舌でアグレッシブな性格は、とても日本人の系統とは思えない。次女は口数が少なく、性格は控えめで日系人っぽいが、バレーボールで見せる跳躍能力は、日本人離れしている。父親がイタリア人、母親がイギリス人のアメリカ人男性と結婚した長女には、子供が二人いるが、息子は顔に少し日本人の面影があるものの茶髪で、娘はマンガに出てくる少女のように目が大きい。未だ幼少なので性格までは判らないが、孫たちが、どんな大人に成長するのか、今から楽しみである。

ハッタリが不得手で、概して性格が控えめな日系人が、最も向いていない職業は政治家であると言われている。事実、歴史的にも日系人コミュニティーが輩出した政治家の数は、他の民族に比べて極端に少ないが、これとて混血によって、今後変わっていくのではなかろうかと思われる。ブラジルで、日系人の大統領が出るのも決して夢ではないかもしれない。

このように、髪の色、肌の色、性格が千差万別のブラジル人たちに、共通している特長は、それぞれの祖国文化を継承しながらも、皆一様にブラジル料理のシュラスコ(焼肉料理)やフェジョアーダ(豆のごった煮)が大好きで、カイピリーニャ(ピンガのカクテル)を飲み、ピザを日常的に食べ、性格が底抜けに明るく、人懐っこくて、ポジティブ志向であることに加え、熱烈なサッカーファンでサンバ好き、そしてブラジルという国を心から愛していることである。                   (完)                                        

mshoji について

兵庫県神戸市出身。1960年、県立神戸高校卒業後にブラジルに単身移住。サンパウロ・マッケンジー大学経営学部中退。貿易商社、百貨店でサラリーマンを経験後に独立。保険代理店、旅行社、和食レストランの経営を経て、現在は出版社を経営。ブラジル・サンパウロ州サントス沖グアルジャー島在住。趣味:ゴルフ、乗馬、社交ダンス、カラオケ、読書、料理。twitter:@marcosshoji
カテゴリー: (ジ)人種差別がない, (ラ)ラテン気質は陽気, (ル)ルーツの多様性 パーマリンク

(9)多様性に富んだ国・ブラジル II への1件のフィードバック

  1. Daison より:

    そうですか、イタリア系が一番多いのですか。
    そのためイタリアンレストランも多く、競争の結果、味もよくなっているという具合ですな。

    それぞれのお国柄を反映した国民気質の分析は面白い。
    そして、どんな国の出身者も皆同じくブラジルが大好き。

    私はよく「ブラジルは好きか?」と聞かれます。
    日本で外国人に対して「日本は好きか?」とはあまり聞きませんね。

    ブラジル人はそれだけ自分の国が好きで、そしてまた多くの外来者にも同じように時分の国を愛してもらおうと思っているのでしょう。

    お子さん、お孫さん、可愛いですね。
    顔も性格も違ってにぎやかで楽しそう。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中